[文化関連事業]

◇松井るみ(「トップ・ガールズ」「雨」「GOLD~カミーユとロダン~」の美術)
◆戯曲への深い理解と愛
審査評 小田島恒志
古今東西の一流女性たちが一堂に会する非現実的光景を一幅の絵に見立てる額縁として機能していた四角い枠が、次の場面ではホリゾントに相似形として浮かび上がる現代キャリアウーマンの職場の窓を照射し、さらに角度が変わって労働者階級の家庭を雨風から守る屋根となる。まるでマジックのようにシンプルかつ効果的だった「トップ・ガールズ」の美術。
大きな野心を抱く小さな男のアイデンティティーとも言うべき五寸釘が、巨大な柱として舞台中央に突き刺さり、物語を支配し、ついにはこの男をのみこむ土着の民の力を見せつけるかのように舞台の奥行き一杯に野が広がった大胆な「雨」の美術。
白を基調に、ロダンのアトリエと人物たちの心象との境界がなくなる美しい「GOLD~カミーユとロダン~」の美術。
松井るみの舞台美術に共通するのは徹底的な読み込みによる戯曲ヘの深い理解と愛である。戯曲と美術がたまたまコラボレートしているのではなく、献身的に、穏やかに、高い技術で戯曲のよさを100%引き出しているのだ。いや、それ以上かもしれない。
◇まつい・るみ 英国留学などを経て舞台美術界の先頭を走り続ける。最優秀賞は第10回に続き2度目。優秀賞も2度の実力派。50歳。