第4回(2010年)よみうり子育て応援団大賞 受賞団体紹介

  •  第4回よみうり子育て応援団大賞の受賞団体が決まりました。
  •  大賞、奨励賞の受賞団体などをご紹介します。

大賞

「京都子育てネットワーク」(京都市伏見区) 悩み話せる仲間づくりの輪

 「親には子育て仲間を、子どもには遊び仲間を」。京都子育てネットワークのモットーだ。

 結成は1997年3月。その1年前、代表の藤本明美さん(48)が活動していた子育てサークルが地域紙に紹介されたのがきっかけだった。「子どもと2人きりで息が詰まりそう」「うちの近くにもサークルがないですか」。不安や孤立感にあふれた電話が毎日のようにあった。

 「他のサークルのことを知っていれば役に立てるのに」。1年がかりで探し出した各地のサークルに手紙を書いた。「同じ目的で活動している人たちでネットワークをつくりませんか」。15の団体が集まった。

 子育てサークルの情報を集めたマップをつくったり、サークル同士が互いに情報交換する交流会を開いたり、運営の相談にのったり。2007年からは、子育て経験の中で培った絵本の読み聞かせやベビーマッサージなどさまざまな資格や技術を持った人たちを「サークル助け隊」として登録し、講師として各サークルに派遣する事業も始めた。

 今、京都市内の約170の団体と連携する。スタッフは33人。活動の柱は子育てサークルの支援だ。子育ての当事者である親たちが互いに助け合うサークル活動を大切にしている。

 この10年、子育て支援の言葉が浸透し、子育てひろばなど親子が集う場も整備されてきた。しかし、子育てのしんどさはあまり解消されていない。

 4年前、子育てグループに参加する約3000人にアンケートを取ったところ、「困ったときに支え合える仲間ができた」「自分の気持ちを話せる仲間ができた」と答えた母親は35%にとどまった。本来、子育て仲間をつくり孤立を防ぐ場であるサークルなどの場が、その役割を十分、果たしていないのかもしれない。

 悩みを話し合える関係をどう築いていけばいいのか。実践してきたノウハウを今年、冊子にまとめた。支援者やサークル運営者の研修会などで活用していきたいという。

 「地域の課題をそこに住んでいる人が解決する。そんな市民力、社会力を大人も子どももつけていけば、子育てしやすい社会につながるのでは」と藤本さん。「私たちの活動がその一助になれば」と願っている。

奨励賞

「ぱん・ぱん・ぱんぷきん」(北海道士幌町) 車いっぱいに夢乗せて

 オレンジ色のカボチャがトラック全体に描かれている。子育て支援カー「ぱんぷきん号」が、北海道士幌町の佐倉公民館前に着くと、幼い子ども連れの母親4人がやってきた。木のおもちゃや絵本の積まれた車の中で、子どもたちは思い思いに遊び出す。車には、シンデレラのカボチャの馬車のように夢を子どもに与えたいとの願いを込めた。

 士幌町は広大な農業地帯。隣の家までは回覧板を車で渡しに行くような土地柄だ。学校週5日制の完全実施を前にした1999年、「土曜日の居場所がなければ、子どもたちは自宅に引きこもってしまう」と、有志が町に移動型の子育て支援カーの共同開発を持ちかけた。週1回と夏・冬休みに、町内の子育て世帯を巡回し、移動図書館やサイエンス教室、野外ショーなどを開き、人気を集めてきた。

 活動するボランティア23人のうち15人は団塊世代の退職男性だ。2002年からは5100平方メートルの土地を無償で譲り受け、子育て支援拠点と学習センターを兼ねた「遊~遊~村」をつくった。地元の小学生約380人が「住民」として登録、井戸掘りや農作業などの技術を受け継いでいる。

 代表の松浪智子(のりこ)さん(56)は「子どもを中心に地域の大人が知恵を出し合い、協力してきた。子どもたちが『ここで育った』と故郷を愛する心を持てるよう、活動のアイデアをさらに練りたい」。

NPO法人「パパジャングル」(福井県坂井市) 父と子で遊んで学んで

 「逃げろ!」。9月の休日。福井県坂井市にある福井県児童科学館の公園で、約30人の子どもたちが、サングラスをかけた父親たちから逃走を始めた。「パパジャングル」が企画した鬼ごっこだ。

 代表理事の荒巻仁さん(40)が、息子の幼稚園で絵本の読み聞かせに挑戦したところ、子どもたちが大喜びしたのが活動を始めたきっかけだった。「これほど自分が必要とされたのは初めてでした」。子どもたちの笑顔をもっと増やそうと、友人の父親たちに呼びかけ、2008年に発足した。

 現在、会員は22人。図書館や公民館などで行う年間約70回の読み聞かせを軸に、父と子だけのキャンプ、運動会、山登り、釣り、料理教室などを開催している。「ママ頼みだったパパも、自然の中で子どもと笑い合うことで子育ての楽しさに気づくようになった」と荒巻さん。昨年のクリスマスには、地元菓子メーカーの協力で父と子のお菓子の家づくりも実施した。

 今年4月からは週2回、子どもの放課後の居場所「放課後子どもジャングル」を公民館で開き、宿題や遊びの面倒を見ている。「受賞を機に父親同士のネットワークをさらに広げ、福井のパパと子どもの笑顔は日本一、と言われるよう活動を充実させたい」と話している。

選考委員特別賞

  • NPO法人「プレーパークせたがや」 (東京都世田谷区、西郷泰之理事長、155人)
    「きんしゃいきゃんぱす」 (福岡市東区、山下智也代表、7人)

  • 【選考委員長】
    小林登氏 東京大名誉教授
    【選考委員】(50音順)
    大日向雅美氏 恵泉女学園大教授
    子安増生氏 京都大教授
    山縣文治氏 大阪市立大教授

    (2010年10月5日 読売新聞)

主催:
読売新聞社
協賛:
住友生命保険