第9回(2015年)よみうり子育て応援団大賞 受賞団体紹介

  •  第9回よみうり子育て応援団大賞の受賞団体が決まりました。
  •  大賞、奨励賞の受賞団体などをご紹介します。

大賞

「NPO法人ママ・ぷらす」(愛知県あま市) 育児優先 スキルもアップ

 「エブリバディ、ハロー」。愛知県大治町のスポーツセンターで週1回、平日に開かれている「親子ふれあい英会話教室」。講師の柳川由衣さん(31)が親子約40人に元気に呼びかけた。

 柳川さんは長男(5)と次男(2)の2児の母。未就園の次男は別室で託児スタッフが預かっている。以前はこの教室の受講者だったが、勉強を重ねて昨年からは講師として活躍。「週1回の仕事がリフレッシュになる」と笑顔で話す。

 「ママ・ぷらす」は2004年に育児サークルとして発足。子どもを預けて働くか、育児に専念するか、の二者択一ではなく、子育てを優先しながらも社会と関わり続ける第3のライフスタイルを提案してきた。

 「多くの女性が出産前には能力を生かして働いていたのに、出産したとたんに『誰かのお母さん』だけになるのはもったいない」と理事長の川原史子さん。

 活動のスタートは交流会と託児付きのアロマセラピーの講座。民間資格を持つメンバーが講師を務めたところ、習い事の講師経験がある参加者が何人もおり、「子どもを預かってもらえるなら私も講師をしたい」との声が上がった。

 活躍の場を作ろうとヨガや英会話、着付け、キッズダンスなどの講座を次々に開設し、現在約30に増えた。講師経験のない母親の養成講座も開設し、スキルの開発にも乗り出した。

 川原さん自身も子育てに閉塞感を感じ、思い悩んだ時期があったという。「社会と関わることで、元気を取り戻してほしい」。力を与える支援ではなく、引き出す支援を心がけた。

 また、商工会のイベントの手伝いなど地域の活動にも積極的に関わり、企業などの理解も深まった。今では賛助会員として約50社が活動を支えてくれている。

 今年度からは、新たに「キッズ防犯プロジェクト」も始め、母親が小学校で安全教室の講師を務めたり冊子を作成したりしている。川原さんは「これまでは母親同士という限られた枠の中で活動してきたが、今後は対象を社会全体に広げたい」と意欲をみせる。

奨励賞

「つづきっず、はい!」(横浜市都筑区) 企業が広げる地域の輪

 中小企業76社が集まる横浜市都筑区の東山田工業団地。産業用ヒーター製造会社「スリーハイ」に、近くの小学生6人と保護者らが集まった。工場を開放しての地域交流イベントだ。

 透明なプラスチックの板に油性ペンで絵を描き、同社のヒーターで加熱すると縮んでキーホルダーができる。子どもたちは興味津々の様子だ。

 景気悪化や後継者不足で企業が撤退した団地の跡地にマンションなどが建設され、工場と住宅が混在。地域のつながりが希薄になる中、代表で同社社長の男沢(おざわ)誠さん(46)が2013年に呼びかけ、中学生とともに団地の防災マップ作りを始めた。1軒ずつ回って、防災グッズの有無などを丁寧に聞き取り、完成させた。

 ほかの企業とも連携しながら、「まち探検」として小学生と団地内を歩き、職場体験活動を続ける。自分たちの街を知ることで、親しみを感じる子どもたちが増えているという。

 男沢さんは「子どもたちを中心に顔の見えるつながりができてきた。多くの企業や住民の皆さんを巻き込んで、もの作りの現場から街づくり、人づくりに広げたい」と意気込む。

「NPO法人そらいろプロジェクト京都」(京都市伏見区) ヘアカット 笑顔届ける

 「絵本を読み聞かせるように、楽しく切ってあげてください」。京都市伏見区の認定こども園で開かれた前髪カット講座。理事長の赤松隆滋さん(41)が、親子14組に笑顔で語りかけた。

 同区で美容院を営む赤松さんは2009年、子育てを支援したいと、前髪を切るコツを教える講座をスタート。参加した保護者から理美容室に連れて行けない発達障害の子どもの相談を受け、翌年から発達障害の子どものための「スマイルカット」を始めた。

 自閉症スペクトラム障害などについて調べ、先が見通せないことを不安に感じたり、はさみの音が怖かったりすることを知った。

 そこで、「霧吹きで髪をぬらす」「はさみで切る」などの手順を1枚ずつ絵にしたカードを作って並べ、終えた順に取っていった。はさみが怖い子には自分の髪を切ってみせ、「怖くないよ」と伝えた。1本しか髪を切ることができなかった女の子が、希望の髪形を伝えるまでになったという。

 14年に美容師仲間や福祉関係者らとNPOを設立。今年8月末までに、延べ954人をカットした。赤松さんは、「発達障害の特性を理解して受け入れる美容師が増えれば、髪を切ることが楽しいと思える子どもがもっと増えるはず」と話している。

選考委員特別賞

  • 「網地島ふるさと楽好」(宮城県石巻市、桶谷敦代表)
    「NPO法人支援機器普及促進協会」(京都府長岡京市、高松崇理事長)

  • 【選考委員長】
    子安増生氏 京都大教授
    【選考委員】(50音順)
    大日向雅美氏 恵泉女学園大教授
    山縣文治氏 関西大教授
    吉永みち子氏 ノンフィクション作家

    (2015年10月12日 読売新聞)

主催:
読売新聞社
協賛:
住友生命保険