第10回(2016年)よみうり子育て応援団大賞 受賞団体紹介

  •  第10回よみうり子育て応援団大賞の受賞団体が決まりました。
  •  大賞、奨励賞の受賞団体などをご紹介します。

大賞

「NPO法人 子育て支援コミュニティ おふぃすパワーアップ」(京都市中京区) 情報誌25年 ママと共に

 「保育所に入れるかどうか心配で、落ち込んでしまう」「どこに聞いても今は入所できないと言われた」。京都市内で開かれた「育休カフェ」。赤ちゃんを連れた育児休業中の母親6組が、保育所入所への悩みを話し合い、情報を交換した。

 職場復帰に不安を募らせる母親のため、おふぃすパワーアップが昨年9月から月1回、開催。1歳の長女と参加した会社員の女性(31)は、「同じ立場のお母さんたちと話せてほっとした」と笑顔を見せた。

 同法人は、子育て情報誌の老舗として全国的に知られる。1991年に京都市主催の託児付き編集講座を受講した母親たちが、情報誌「京都子連れパワーアップ情報」を自費出版したのが、活動のきっかけだ。子連れでも安心できるレストランや託児のある講座などを、母親自身が取材して掲載。話題を呼び、半年間で7000部を完売した。以来、数年おきに発刊し、最新号は15号になる。

 初号から参加する代表の丸橋泰子さん(61)は、「子育てに自信が持てずに孤独だった当時、自分の居場所を見つけられて、すごく楽しかった」と振り返る。2002年にNPO法人化し、25人で活動する。

 「母親が笑顔になれば、子どもも笑顔になる」との信念で歩み続け、25年。新しい号を作る際には、「取材・編集講座」を開き、子育て中の受講生も取材するなど、当事者の視点を誌面に反映させてきた。

 別冊として独立した「京都 幼稚園・保育園・認定こども園情報」や、父親の育児参加を応援するフリーぺーパー「イクメン図鑑」など、時代の需要に合わせた雑誌も次々創刊。インターネットで無料の情報が簡単に手に入る時代だが、「情報とは人の思いや情けを報じること」をポリシーに、例えば保育所の紹介でも単なる施設情報でなく、取材したからこそわかる運営者の人柄や理念を伝えてきた。

 活動の幅は、情報誌の作成にとどまらない。取材で得た知識を生かし、10年から約6年間、京都府の就業支援施設でスタッフが「ママさんコンシェルジュ」として、母親らの相談に乗った。「育休カフェ」を始めたのも、保育所探しに苦しむ母親の姿を目の当たりにしたからだ。

 「子育てに役立つ確かな情報を発信し続け、本当に困っている人の頼りになる存在でありたい」と願う丸橋さんら。下ろした根は着実に広がり、地域をしっかりと支えている。

奨励賞

「NPO法人 面会交流支援 こどものおうち」(埼玉県熊谷市) 離れた親子 再会橋渡し

 「あの公園は遊具もあって、親子遊びに使えそう」「下見に行ったら出入り口も複数あって、よかったですよ」

 離婚後、離れて暮らす親と子どもがスムーズに面会交流できるよう、現役の家事調停委員や経験者17人で支援している。月1回、事例研究会を開き、メンバーが担当した面会交流の報告や共有したい課題などについて、意見を交わす。この日は、親子が会う場所について情報交換された。

 2014年に設立。離婚時に、その後の親子の面会交流について取り決めをしても、実際に行われるケースは、多くないのが現状だ。家事調停委員として離婚調停で力を尽くしても、実行されなければ意味がない。それぞれが葛藤を抱えていた。

 「信頼できる第三者が立ち会えば、会える親子もいるのでは」。そんな思いから、面会の支援活動が始まった。今では毎週末、複数の面会に立ち会うほどの依頼がある。

 子どもの安全確保や職業倫理等から、綿密な準備と厳格なルールで支援に臨んでいる。ぎこちなかった親子が次第に絆を深めていくのが、メンバーの何よりの喜びだ。代表理事の笠間和彦さん(74)は、「これからも子どもの利益を最優先に取り組みたい」と受賞に決意を新たにしていた。

「兵庫子ども支援団体」(兵庫県加東市) 格差解消 勉強サポート

 週末、兵庫県明石市にある福祉施設の一室。同市や神戸市の小中学生12人が、それぞれ参考書を開く。ボランティア10人が時折声を掛け、和気あいあいと学習が進む。

 代表理事で兵庫教育大3年の多田実乗さん(21)ら大学生や社会人のボランティア約20人が交代で週1回、経済的に厳しい家庭の子どもらに勉強を教える学習支援教室。月500円の参加費で、子ども1~3人にボランティアが1人ついて見守る。5月から通う中学3年の男子(14)は「勉強に対する意識が高まった。学校の授業でも積極的に発表できるようになった」と喜ぶ。

 2013年、当時高校3年の多田さんが「いじめや虐待などで悩む子どものために何かしたい」と友人ら約10人と団体を設立。啓発活動をするうち、問題の根っこには家庭の経済力による学力格差があると気づき、15年5月から小中学生の学習支援に取り組んでいる。今年6月からは加東市での学習支援も始めた。

 日々の宿題から受験勉強まで、子どもの希望に沿って指導する。合間には進路相談や恋愛話も。中学生が小学生の面倒を見るなど、子どもの居場所にもなっている。

 多田さんは「勉強をきっかけに、子どもたちが自信をもって生きていける地域づくりを目指したい」と話している。

選考委員特別賞

  • 「NPO法人こどもサポートネットあいち」(名古屋市北区)
    「人形劇ぶっくる」(熊本県菊陽町)

  • 【選考委員長】
    子安増生氏 京都大名誉教授
    【選考委員】(50音順)
    大日向雅美氏 恵泉女学園大学長
    山縣文治氏 関西大教授
    吉永みち子氏 ノンフィクション作家

    (2016年10月13日 読売新聞)

主催:
読売新聞社
協賛:
住友生命保険