4万号 1987年10月25日沖縄の苦難に悲しみと痛み...天皇陛下がお言葉

天皇陛下のご名代として、美智子妃殿下とともに沖縄を訪問された皇太子殿下は、二十四日午後、糸満市摩文仁の沖縄平和祈念堂で、陛下のお言葉を遺族ら県民各界の代表に伝達された。

お言葉の中で、陛下はまず沖縄戦について、「島々の姿をも変える甚大な被害を被り、一般住民を含む数多(あまた)の尊い犠牲者を出した」と悲惨な戦禍を具体的に指摘され、さらに、「戦後も永らく多大の苦労を余儀なくされてきた」と二十七年に及ぶアメリカ統治にも言及された。

こうした沖縄の苦難に対して「深い悲しみと痛みを覚えます」と、陛下のお言葉としては異例の踏み込んだ表現で真情を吐露、深い哀悼の意を示され、戦後の復興に尽力した県民の労をねぎらわれた。

さらに戦後の全国巡幸でも果たせなかった念願の沖縄訪問だけに、思わぬご病気による断念について「誠に残念でなりません。健康が回復したら、できるだけ早い機会に訪問したい」と述べられ、今なお変わらない意欲を示されている。

平和祈念堂ではこの日、二百十六人がお出迎えの予定だったが、瀬長亀次郎代議士(共産)ら革新系の大半が欠席。皇太子さまは、初代県知事の屋良朝苗さんら百六十三人を前に、お言葉を伝達された。これに先立ち、皇太子ご夫妻は、十八万余柱が眠る国立沖縄戦没者墓苑に拝礼された。

(1987年10月25日朝刊)

天皇陛下のお言葉

沖縄県民に伝達された天皇陛下のお言葉全文次の通り。

さきの大戦で戦場となった沖縄が、島々の姿をも変える甚大な被害を被り、一般住民を含む数多(あまた)の尊い犠牲者を出したことに加え、戦後も永らく多大の苦労を余儀なくされてきたことを思うとき、深い悲しみと痛みを覚えます。

ここに、改めて、戦陣に散り、戦禍にたおれた数多くの人々やその遺族に対し、哀悼の意を表するとともに、戦後の復興に尽力した人々の労苦を心からねぎらいたいと思います。

終戦以来すでに四十二年の歳月を数え、今日この地で親しく沖縄の現状と県民の姿に接することを念願していましたが、思わぬ病のため今回沖縄訪問を断念しなければならなくなったことは、誠に残念でなりません。

健康が回復したら、できるだけ早い機会に訪問したいと思います。

皆には、どうか今後とも相協力して、平和で幸せな社会を作り上げるため、更に努力してくれることを切に希望します。