報道の重点と実績

スクープ

1面を飾る特ダネは新聞報道の真髄です。読売新聞は数々のスクープを放ち、社会に問題提起してきました。

2014年11月、群馬大病院での腹腔鏡(ふくくうきょう)を使った高難度の肝臓切除手術で8人が死亡していた事実をスクープ。先端医療の導入を巡る不透明な実態を明らかにした一連の報道で、15年度新聞協会賞を受賞しました。同じ14年11月には、安倍首相が消費税率の10%への引き上げを先送りし、衆院の年内解散を検討していることを他紙に先駆けて報じました。政権中枢の秘められたシナリオのスクープは政界に衝撃を与え、14年12月の衆院選実施に至る政局報道を大きくリードしました。

戦後70年の節目となった15年には、第2次世界大戦後、旧ソ連が朝鮮半島北部、南樺太、中国・大連に設けた収容所で死亡した日本人抑留者1057人の名簿を読売新聞が発掘。日本政府が名簿の一部を入手しながら公表してこなかった事実も報じ、抑留死亡者に関する政府の調査方針の転換につなげました。

群馬大病院の問題や日本人抑留者名簿は、読売新聞の報道がなければ明るみに出ることはありませんでした。真実を伝えたい。自分たちの仕事は社会を良くすることにきっと役立つ。記者たちはそんな思いで、日夜取材に奔走しています。

提言報道

読売新聞は1994年(平成6年)11月に憲法改正試案を発表して以来、安全保障、行政改革、経済政策、教育、税制、医療など、国の将来像にかかわる多くのテーマについて提言を行ってきました。その数は、2013年5月の「医療改革に関する提言」まで計27回に及びます。提言報道により、言論機関として新たな境地を開くとともに、時代の羅針盤としての役割を果たしてきたと自負しています。

政府や与野党の政策が、読売新聞の提言通りに、あるいはそれに近い形になることも多くあります。例えば、憲法改正試案から約5年後の2000年1月に、衆参両院で初めて憲法調査会が設置されました。1996年(平成8年)5月の「内閣・行政機構改革大綱」の発表から約4年半後には中央省庁再編が実現しました。2013年5月の医療改革提言では、医療分野の研究開発の司令塔となる機関の設置を訴え、約2年後に、政府の健康・医療戦略の中核を担う国立研究開発法人「日本医療研究開発機構」が発足しています。

医療

「読売新聞は医療に強い」という評価を得ています。朝刊の長期連載「医療ルネサンス」は1992年(平成4年)9月にスタートし、連載回数が6000回を超えました。「心と体に優しい医療」の実現を願い、子どもの病気の治療法から、共感を呼ぶ闘病記、認知症、最先端の再生医療まで、様々な医療の課題を取り上げてきました。この連載は、94年度新聞協会賞や菊池寛賞(96年)などを受賞した看板企画です。

ほかにも、病気ごとに全国の有力病院の治療実績を調査し、一覧表にして紹介する「病院の実力」の企画や、夕刊の「からだ」「こころ」面などを通じ、読者の役に立つ情報を届けています。豊富な医療記事は、医療・介護・健康情報の総合ウェブサイト「ヨミドクター」でも提供しています。

97年(平成9年)には、一般紙で初めて、医療を専門に取材する部署(当時は医療情報室。現・医療部)を東京本社編集局に設置しました。企画記事の取材で記者が蓄えた知識や人脈は、数々のスクープ記事を生み出しています。長野県内の病院での非配偶者間の体外受精の実施(1998年)、妊婦の血液による胎児のダウン症診断の導入計画(2012年)、群馬大病院での腹腔鏡手術死亡問題(14年)の報道は、大きな反響を呼びました。

ヨミドクター

教育

読売新聞は、教育報道の充実に力を注いでいます。2013年4月、東京本社編集局に教育部を新設し、文部科学省の教育改革、学校現場でのいじめや体罰の問題といった日々のニュースから、各種の企画記事までを専門記者が取材する体制を整えました。

「教育の読売」の顔と言える企画記事は、05年1月に連載スタートした朝刊の「教育ルネサンス」です。連載回数は2000回を超え、脱「6・3」制、フリースクール、歴史教育などの幅広いテーマで、変わり行く教育現場の「今」をリポートしています。

また、全国の約9割にあたる大学から退学率、卒業率、海外体験・留学の人数、就職・進学状況などのデータを収集し、「大学の実力」と名付けて公表しています。この調査は、東京本社教育ネットワーク事務局が担当し、読売新聞の別刷りや読売教育ネットワークのウェブサイトで掲載しています。退学率や卒業率のデータは、海外の大学では当たり前に公表されていますが、読売新聞が調査を開始した08年当時の日本では、「門外不出のデータ」と考える大学が普通でした。その後、文部科学省は、「大学の実力」を参考に、各大学に一層の情報公開を促しています。

くらし

日本の新聞で初めて本格的なくらし面を開設したのは、読売新聞です。その歴史は、1914年(大正3年)の「よみうり婦人附録」にさかのぼり、100年を超えます。

「1人分の食事を短時間で作る」「タートルネックセーターを着こなす」―――。衣食住の実用情報はもとより、女性の生き方、育児、介護、消費者問題など生活関連分野のニュースをわかりやすく伝え、読者に寄り添った紙面を作ることは、読売新聞にとって重要なテーマです。

「くらしの読売」の伝統は、朝刊の「人生案内」のコーナーに象徴されます。「よみうり婦人附録」内に「身の上相談」欄として設けられ、途中でタイトルの変更や掲載の中断はありましたが、1世紀にわたって恋愛、結婚、家族関係、仕事などの悩みに答え続けてきました。回答者は、時代を代表する作家や学者などの著名人たち。その親身なアドバイスは、世代を超えて読者の支持を集めています。