読売新聞のコラム
読売新聞には、筆力の優れたベテラン記者たちがコラムを書いています。その代表的なコラムが、「編集手帳」(朝刊1面)、「よみうり寸評」(夕刊1面)、「五郎ワールド」(朝刊解説面)です。
編集手帳

朝刊1面の「編集手帳」は、内外のニュースから肩の凝らない暮らしの話題まで多彩なテーマを自在に料理し、世相を約460文字で活写しているコラムです。1949年(昭和24年)に創設され、「雑誌の編集後記のように」とのアイデアで名付けられました。「朝刊はまず編集手帳から読む」という読者も少なくありません。
7代目の担当者は清水純一論説委員で、2017年10月3日付朝刊から執筆しています。
清水論説委員は、その直前まで夕刊一面コラム「よみうり寸評」を担当していました。その時に心がけていた「堅い言い回しで『論じる』のではなく、読者に一緒に考えてもらえるような平易な文章」を、編集手帳の執筆でも実践しています。
日々移り行くニュースに対応する編集手帳の執筆を、清水論説委員はサーフィンに例えます。「パドリングしながら待っていて、来た波をぱっとつかまえる。反射神経が問われます」。書くべき「波」を待ち、さらにその「波」にいつでも乗れるように準備をしているということです。「思ったり、感じたりしたことを読者と共有していきたい。これからも精進していきます」。
- <清水純一プロフィール>
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読売新聞論説委員。1964年(昭和39年)、宮崎県生まれ。88年(昭和63年)、立教大学社会学部社会学科卒。宇都宮支局を経て、東京本社社会部で司法などを担当。2012年から論説委員。2014年4月1日から「よみうり寸評」、2017年10月3日から「編集手帳」担当。
声優らによる「編集手帳」の朗読をYouTubeで公開しています。
よみうり寸評

夕刊1面の「よみうり寸評」も、社会の「今」を切り取り、読者に問いかけるコラムです。1949年(昭和24年)11月の夕刊の復活と同時に創設されました。文字数は朝刊の「編集手帳」よりわずかに少ない約420文字です。
現在の筆者は6代目。東京本社論説委員会に所属する棚瀬篤論説委員らが交代で執筆しています。いずれも選ぶテーマの鮮度を大切にし、直近のニュースを精査して旬の話題を取り上げています。
棚瀬論説委員は、親しみやすさも大切にしたいと言います。「論じるというより、構えずに読んでもらえるようなコラムにしたい。新聞全体を読む前のウォーミングアップ、もしくは重い記事を読んだ後のクールダウンになるような。読者に『なるほど』『へえ』と思ってもらえたらいいですね」
- ※統合版地域では翌日朝刊に掲載しております。
- <棚瀬篤プロフィール>
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読売新聞論説委員。1960年(昭和35年)、愛知県生まれ。85年、早稲田大学政治経済学部卒。千葉支局を経て、東京本社社会部デスク、中部支社社会部長、東北総局長などを歴任し、2013年9月から現職。2017年10月2日から「よみうり寸評」担当。
五郎ワールド

「リーダーとは」「学問とは」「人の生き方とは」――。「五郎ワールド」は、ベテラン政治記者の橋本五郎特別編集委員が毎月第2土曜日の解説面でお届けしています。取り上げる題材は政治に限りません。自らの人生観、死生観を時に吐露しながら、「人が良く生きる」ための手がかりを描き出そうとするコラムです。
2002年4月から4年間は、「五郎の政治ワールド」のタイトルで政治面に掲載していました。時々の政治の動きを歴史の流れの中で考察し、過去の事象と関連づけたり、哲学書をはじめ内外の著作を引用したりして、その意味や背景を深く掘り下げるのが橋本流の政治コラムです。「政治の世界に限らず、良く生きた人の人生を取り上げたい」と考え、連載を解説面に移した06年4月からは、テーマの幅がぐっと広がりました。
「記者は自分を棚に上げ、人のことをとやかく言う仕事です。だから謙虚でなければならないのです。先人に学び、歴史に学ばなければならないことがたくさんあります」
コラムで披露する博識の数々は、こうした思いで日々蓄えてきたものです。橋本特別編集委員は「政治コラムの新境地を開いた」と評価され、14年度日本記者クラブ賞を受賞しています。
- <橋本五郎プロフィール>
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読売新聞特別編集委員。1946年(昭和21年)、秋田県生まれ。70年(昭和45年)、慶応大学法学部政治学科卒、読売新聞入社。論説委員、政治部長、編集局次長を歴任し、2006年から特別編集委員。読売テレビ系「ウェークアップ!ぷらす」「情報ライブ ミヤネ屋」などに出演し、政治・政局解説を務める。著書に「総理の器量」「総理の覚悟」(共に中公新書ラクレ)、「範は歴史にあり」「『二回半』読む」(共に藤原書店)、「新聞の力」(労働調査会)。