読売行動指針

 2024年の創刊150周年を機に、読売新聞グループで働く全ての人の羅針盤となる「読売行動指針」を策定しました。ネット社会の発展で真偽不明の情報が氾濫する中、真実を伝える報道はもとより、事業全般を通じて民主主義の発展に寄与するという読売新聞の存在意義を再確認するのが狙いです。

私たちは「新聞社を超える新聞社」を目指す。
変わらず読者の信頼にこたえ、これまでにない価値を創造する。
道をひらくのは日々の一歩だ。
挑戦を楽しもう。好奇心は推進力になる
謙虚な心を持とう。他者への敬意は視野を広げる
働き方の多様性を認め合おう。公私の調和は活力を生む
今の自分を超えていこう。その成長は社会のためになる
力を結集しよう。つながりは不可能を可能にする
誠実に向き合おう。一つ一つの積み重ねが信頼を築く
(2024年1月1日策定)
行動指針
  • 11の価値観を抽出。「挑戦」「信頼」「謙虚」を最上位として軸に置く
  • 「誠実」「敬意」「自律」「つながり」「相互理解」「好奇心」「自己成長」「公私の調和」も体現していく

「読売行動指針」策定の過程

 2024年11月の創刊150周年に向け、読売新聞社では全社員の羅針盤となる「行動指針」を作ることになった。策定委員会を発足させ、メンバーには東京、大阪、西部3本社の若手、中堅社員14人を選抜。社の150年の歩みを学びつつ、次世代が希望を持てる指針を作ろうと活発な議論を交わした。

 読売新聞には報道・言論の進むべき方向を定めた「読売信条」がある。毎年元日の紙面に掲載される読者との約束だ。記者向けには日常の取材・報道活動で実践すべき職業倫理を記した「記者行動規範」もある。
 しかし、読売で働くのは新聞発行に従事する人ばかりではない。読売新聞は人々の心を豊かにする様々なビジネスを展開しており、その比重は年々増している。さらにネット上に飛び交う虚実ない交ぜの情報や、生成AI(人工知能)が作る真実性を欠く言説が現実世界を侵食するなど、ニュースを取り巻く環境も激変している。

 このような状況下で、公平・公正な報道で民主主義を支え、人々の笑顔のために読売で働く全ての人の「よりどころ」になるものが必要だ、というのが行動指針作りの始まりだった。
 23年2月に発足した策定委員会では定期的にメンバーが集まり、仕事への価値観や読売の社会的使命などについて深く議論した。山口寿一グループ本社社長から受けた社の歴史や読売信条についての講義では、(1)公共の精神、挑戦の精神、先見性が創業時から貫かれている(2)人間の英知で最善の解を求める中庸・中道の精神を大切にしている(3)自律の尊重が真の自由につながる――ことなどを学んだ。

 行動指針や企業理念を作った経験がある商社や電力会社などに協力を求め、策定作業の進め方についてヒントをもらった。社員を鼓舞し、浸透する指針を作るには一人ひとりの声を聞くことが必要だと考え、全社員へのアンケートを実施した。
 2000人超の回答では、若手からベテランまで多くの社員が、「社会貢献」「読者のため」といったことを仕事のモチベーションにしていることが分かった。アンケートに合わせ、3本社の役員にも「大切にしている価値観」などをインタビューした。共通したのは「誠実」「真摯しんしな姿勢」「読者や社会のため」といった言葉だ。今後も変えてはならない読売の「魂」を再確認した。

 検討を重ねた末、策定委員のメンバーが23年9月に読売新聞の目指すべき姿として打ち出したのが「新聞社を超える新聞社」というビジョンだ。その実現に向けアンケート結果などから11の「価値観」を抽出した。
 中でも「信頼」「挑戦」「謙虚」を最重要の価値観と位置づけた。歴史に裏打ちされた「信頼」を担保し、創業時から貫く「挑戦」の精神は持ち続けたい。激変する時代に民主主義を支える役割を全うするには「謙虚」であるべきと考えたからだ。
 これらの価値観を体現する言葉を紡いで完成したのが行動指針だ。新しいビジョンと11の価値観を、前文と6項目の指針に整理している。11月の社内承認を経て、1月6日付の読売新聞紙面に掲載した。

 難局を乗り越え、読売新聞のバトンを未来につなぐため、全社員の心に火をともす指針になってほしいとの願いが込められている。