読売新聞の連載小説・漫画

連載小説

読売新聞は、実力派や気鋭の作家の書き下ろし小説を朝夕刊で連載しています。

現在の朝刊の連載小説は、橋本治さんの「黄金夜界」。今年は、尾崎紅葉が本紙で「金色夜叉」の連載を始めて120年の節目。文学や美術、評論など様々な分野に通じるベテラン作家が、明治の人気小説を現代によみがえらせます。夕刊(一部地域朝刊)では、「 切羽 きりは へ」で直木賞、「そこへ行くな」で中公文芸賞を受賞し、人間関係の不条理を描いてきた井上荒野さんが「よその島」を連載中です。とある島で暮らし始めた70歳代の男女3人をめぐる物語です。

明治期は、言文一致の先駆的な作品とされた山田美妙の「武蔵野」を連載するなど文学新聞として名をはせ、尾崎紅葉の「金色夜叉」も熱狂的な人気を集めました。

昭和期には吉川英治「太閤記」や松本清張「砂の器」などの歴史的名作を連載。近年も、ベストセラーとなった角田光代さんの「八日目の蝉」や松浦寿輝さんの「川の光」、町田康さんの「告白」(谷崎潤一郎賞)など、文学性の高い作品を生み出しています。

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黄金夜界
よその島

<作者の言葉>

橋本治さん
橋本治さん
「黄金夜界」

「現代を舞台にして『金色夜叉』のリメイクをしてみないか」と言われて、興奮しない物書きはいるでしょうか。私は思わず「おおッ」と声も上げてしまいました。

「貫一、お宮の物語」である尾崎紅葉の「金色夜叉」は、大通俗で、遠い昔の忘れ去られた物語のように思われかねませんが、私にとってはとても現代的なものを暗示する興味深い作品です。登場人物の名は、明治の作品のまま、金に翻弄(ほんろう)される貫一、お宮のメロドラマに挑みます。

井上荒野さん
井上荒野さん
「よその島」

離島での共同生活をはじめることにした三人の老人の物語です。「よその島」の「よそ」には、「他者」の意味もこめました。「自分以外」なのですから、夫婦であっても「よその人」同士です。老いれば、過去と記憶は増えていきます。人ひとりの中には圧倒的な情報量が詰まっています。愛したり憎んだりするとき、私たちは「よそ」の何を知っているというのか。「よそ」に不寛容な今の時代に、そんなことも考えて書いていければと思います。

漫画

朝刊社会面に毎日連載され、「朝の顔」になっているのが、植田まさしさんの「コボちゃん」です。1982年(昭和57年)の連載開始から1万2000回を超えています。読売新聞の歴代漫画で随一の長寿作品であるだけでなく、全国紙の現役漫画の中で最多の連載回数を記録しています。連載1万回に達した2010年6月14日には、主人公・コボちゃんの妹・ミホちゃんが誕生し、一層にぎやかになりました。

夕刊社会面は、2012年から唐沢なをきさんの「オフィス ケン太」を連載しています。IT企業で社員を癒す「オフィス犬」の役目を果たす、柴犬のケン太が主人公です。

日曜版は、そにしけんじさんの「猫ピッチャー」を13年から連載。プロ野球初の猫投手という設定の主人公・ミー太郎のかわいらしさが評判になり、アニメ化やキャラクターグッズの制作も行われています。「コボちゃん」と「オフィス ケン太」は4コマ漫画ですが、「猫ピッチャー」は23コマとワイドです。

歴代の連載漫画には、秋好馨「轟先生」(1949~73年)、鈴木義司「サンワリ君」(1966~2004年)、けらえいこ「あたしち」(1994~2012年)などがあります。コボちゃんに次ぐ長期連載は、「サンワリ君」の1万1240回です。

コボちゃん
コボちゃん
オフィス ケン太
オフィス ケン太
猫ピッチャー
猫ピッチャー